平成19年度 コストエンジニアリング研究会 5月度 報告
第488回−平成19年5月開催−
日 時
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平成19年5月18日(金)13:30〜17:00 |
会 場
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東京薬業会館 7階会議室 会場地図 |
演 題
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「アイシン精機の原価管理活動について」
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発表者
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アイシン精機株式会社 原価管理部長 水谷彰利氏 |
発表項目
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発表内容の要約
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1.アイシン精機(株)の概況
1)連結売上高 約2,4兆円(96%は自動車関連、4%は生活関連) 内 トヨタグループ66%、その他自動車部品30% 日本国内70%、北米16%、アジア7%、その他7% 2)従業員数 11,600名 2.原価企画活動の概要 1)原価管理体制・組織 原価管理部は本社機構内の経営管理部門の中に位置づけられてお り、原価管理推進グループと原価企画推進グループに大別される が、ここでの総人員は39名、ただし各工場に原価管理を遂行する グループが配属されている 2)原価管理の定義 当社における原価管理は経営目標を達成するために、適正な原価 の目標を設定し、計画を実施に移して目標と実績との差異分析を 行い、必要な改善措置を講ずる管理活動のことである。 その内容は製品別原価管理(プロジェクトごとの管理)と費用別原価 (期間ごとの管理)に大別される。 3)製品別原価管理 ①開発設計段階の原価管理は原価企画で実施 ②製造段階の原価管理は原価維持と原価改善で実施 原価企画は商品企画の段階から製造段階に入るまでの活動におい て目標製造原価等を設定し、これをDRやCRなどの会議体によって チェックを徹底的に行い、その達成を確認してから次のステップに 進ませている。もちろん、コンカレント・エンジニアリング体制の下で の展開である。原価の作り込みは「機能でつくりこむ活動」、「図面で作り込む活動 、「工程で作り込む活動」として認識しユーザーの声を聴き、ベンチ マーキングやVEを採り入れて全社的活動として実施している。 原価企画推進の「しくみづくり」は上のようであり「人づくり」は、 オールアイシンの原価管理機能の中枢として、原価を評価できる 人づくりと原価を改善できる人づくりを行い、グループの利益体質の 向上に貢献するものである。また、原価企画を推進するための 「道具づくり」としてはコストテーブルやDFAなどを活用している。 前者では開発設計段階で活用する概算コストテーブルと購入品・ 部品の原価見積もり用の詳細コストテーブルを整備しその使用 方法の教育も行っている。後者についても広く開発設計段階で 活用し効果を上げている。 3.当社の原価管理を取り巻く環境変化と課題対応 業界における競争の激化とビジネスのグローバル化等に伴い、当部 は次の5点が当面の重要課題であり、これに十分応えねばならない。 1)原価管理の海外転出 特に2000年以降、生産拠点だけではなく開発拠点も増加しており ここでの原価管理、とりわけ原価企画の体制整備が急務となって いる。同時に人材育成や道具づくりも急がれる 2)ダントツの原価実現 これは原価のBest of Best(ダントツの原価)を実現するための活で、全社プロジェクトを立ち上げ戦略的部品などを中心に展開する。 従来の同業者間のベンチマーキングを超えた活動となる。 3)一貫した原価の達成責任の明確化 これは製品別原価管理において、原価主査を決め彼が原価責任を負って、製品企画時からその製品のライフサイクル全体にわたって原価情報の収集とコントロールする体制を明らかにすることである。 4)全ての新製品へ原価企画を実施 一般に原価企画は主力製品(Aランク製品)を対象として実施されるが、当社ではCランク製品(相当数のものがある)まで、全ての開発設計品に対して原価企画による管理を実施するのである。 5)IT活用による開発期間短縮の支援 これは3D—CADと連動した原価見積もりシステムの構築、TRIZの活用など全面的に開発期間短縮となる要因を見いだし、これを短縮する方策を考え実現化することある。 (発表内容要約:田中雅康先生) |